No17.DCF法とは?
1.DCF法って?
例えば、何かにお金を投資する際には、将来ちゃんと回収できるか?を考慮して投資しますよね?
金融商品に投資する場合も、元本保証だったり、利率等を考慮して投資すると思います。
人間って、頭の中で得か損か?投資額と将来の回収額を比較して意思決定を行っています。
DCF法は、そういった投資と回収の金額を、具体的に計算する方法です。
ポイントは、将来回収するお金を、「時間価値」という概念を使って現在価値に置き直すところですね。
DCF法っていうのは、ディスカウントキャッシュフロー法の略になります。株価評価を行う際にも、DCF法を利用することもあります。
2.時間価値って何?
今、現金1,000万円もらうのと、10年後にもらうのとではどちらがよいですか?
今、1,000万円もらったとしたら、10年間自分で運用して増やすことができますね。
10年分の利息がある分、確実に今もらった方がお得です。これが「時間価値」と呼ばれる概念です。
例えば、利率1%の場合、10年後には、1,000万円が約1,104万円になります。
1,000万円×(1+0.01)10=1,104.6万円
逆にいうと、将来の1,104,6万円は、今の価値にしたら1,000万円ということです。
つまり、1%で10年間運用して1,104万円にするためには、今1,000万が必要ということです。
1,104.6万円/(1+0.01)10=1,000万円
DCF法では、将来の現金収入を、全て現在価値(PV(Present Value))に直して、同じ時間軸で現金の価値を比較します。
現在価値の合計は「正味現在価値(NPV Net present Value)」と呼ばれ、利息は「割引率」と呼ばれます。
3.具体例
投資額1,000万円、毎年の現金収入200万円、利率(割引率)1%
現時点
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1年目
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2年目
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3年目
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4年目
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5年目
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現在価値合計(NPV)
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収入
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200
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200
|
200 |
200
|
200
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支出
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▲1000
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||||||
1+割引率
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1.01
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1.0201
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1.0303
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1.0406
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1.0510
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||
現在価値(PV)
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198
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196
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194
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192
|
190
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970
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単純に1,000万投資して毎年200万の現金が入ってくれば、5年で回収できるって思いますね。(1,000÷200=5年)
でも、時間価値を考えると、200万の5年間の価値合計は970万円になります。つまり、5年で1,000万円は回収できない結論になります。
仮に、「5年しか運用期間がない」ような投資の場合、6年目までプラスにはならないので、5年後には確実に損してしまうので投資しない!という結論になります。
(現在価値では、30万赤字になるのが、明らかだからです。)
何年間で回収するか?期間は、その目的によって異なります。例えば「耐用年数5年」の設備投資なら、5年になりますし、
「M&Aで会社を買う」場合は、3年くらいで投資額を回収したいって考えたら3年になります。
4.その他
- 将来の現金収入の算定は、あくまで損益計画を基に現金情報に置き換えます。簡易な現金収入額は、税引後利益++減価償却費でも算定する場合もあります(EBITDA)。
- 回収期間が長期になる場合には、もちろん不確実性が伴います。このような場合、国債や預金利率等を割引率として用いても実態に合いませんので、リスクを考慮した利率を用いることが多いです。企業の投資判断では、一般的に資本コスト(WACC)を用いたり、成長率等を考慮して算定します。
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