名称未設定-5

1.レバレッジ効果とは?

自己資本だけで資産運用する場合よりも、借入も合わせて行って資産運用した方が、自己資本に対する投資利回りが向上することをレバレッジ効果といいます。
 

2.自己資本利益率(ROE)とは?

株主資本利益率ともいわれます。株主資本(=自己資本)に対して、当期純利益がどれくらいでているのか?を示す指標となります。
最近は、このROEを重視する企業も多いですね。

 ROE(%)=(当期純利益÷自己資本)×100

 

3.具体例

~収益マンションを購入するケース~

A.自己資金のみ B.自己資金+借入金(借入利率3%) C.自己資金+借入金(借入利率10%)
自己資金 5,000 5,000 5,000
借入金 5,000 5,000
家賃収入(利回り10%) 500 1,000 1,000
支払利息 150 500
差引利益 500 850 500
自己資金利益率(ROE) 10% 17% 10%

5,000万円の自己資金でマンションを取得、運用利回り(家賃収入)が10%とすると、自己資本利益率(ROE)は10%(家賃収入500万÷アパート投資額5,000万)となります
(上記Aです)

一方、上記に、借入金5,000万円を加えて1億円のアパートを取得したケースはどうでしょう?運用利回りが同じく10%であれば、家賃収入は1,000万円となります。
ただし、借入金利息が追加発生しますので(3%とします)、これを差し引くと、結果、自己資本利益率(ROE)は、17%となります(上記Bです)。

つまり・・同じ運用利回りでも、追加借入をして資産運用した方が、ROEが上がりました!これがレバレッジ効果というものです。
分子の利益が増えて、分母の自己資本は変わらないので、当たり前
というと当たり前の結論ですね。

しかし、借入金利息が10%(500万円)になると ROEは10%に下がってしまいます(上記C)。
つまり、いくら借入して資産運用したからといって、借入利率が高ければ、レバレッジ効果は少なくなるってことですね。
 

4.借入のメリットデメリット

メリット デメリット
  • レバレッジ効果
    前述のとおり、ROEを引き上げる効果が期待できます。
  • 倒産リスク
    借入金が多額の場合には、倒産リスクが生じますので、もちろん多ければ多いというわけではありません。
  • 経営改善インセンティブ
    借入金は返済義務を負い、返済できない場合には倒産の恐れもありますので、経営上は、何とか業績を上げて借金を返済しよう!いうインセンティブが働きます。
    例えば、返済原資を確保できるよう、採算重視の受注を行ったり、経営資源を特化したり、無駄なコストを抑えて経営資源を特化する等のガバナンス効果が期待できます。
  • 金融機関の関与
    借入額いかんによって銀行が経営に関与してくる可能性があります。
  • 節税効果
  • 自己資本に対する配当は、税務上損金にはなりませんが、借入金に対する支払利息は、損金になりますので、借入増加により節税効果は高まります。

  • 利息の負担
    借入することで、新たな金利の負担が増えます。

 

5.まとめ

結論は、レバレッジ効果のある借入金を増やす一方、倒産リスクも考慮して、借入と資本の関係が最適になるような経営が望ましいです。

古くからの企業は、将来の財務リスクにそなえて、無借金経営を行う会社も多いのも事実です。しかし、余剰資金を保有していると、LBO等の買収の危険にさらされることもありますし、一概に無借金経営がよいとは限りません。効率的な資産運用を行うには、借入を行うのも選択肢の一つです。
 
<< 前の記事「短期事業計画と中長期経営計画」次の記事「資金調達の種類(直接金融と間接金融)」 >>