No46.引き継いだ繰越欠損金の利用期限はいつまで?
1.利用期限はいつまで?
適格合併等で、「被合併会社」の繰越欠損金を引き継げるとしても、その利用期限はいつまでになるのでしょう?
法人税法57 条を読み込むと、以下の通りとなります。
(原則)
種類 | 引き継げる繰越欠損金 |
---|---|
適格合併 | 当該適格合併の日前9 年以内に開始した事業年度 |
完全支配関係のある会社の残余財産の確定 | 残余財産の確定日の翌日前9 年以内に開始した各事業年度 |
(例外)
「合併」や、「残余財産確定」事業年度開始の日以後に発生した「被合併法人等」の未処理欠損金額は、合併等事業年度の前事業年度において生じた欠損金額とみなす。
2.例題
例えば、以下の適格合併を例に、繰越欠損金の期限を示すと以下の通りとなります。
(繰越欠損金の引継の要件は、すべて満たしているものとします)
- 適格合併日 平成28 年4 月30 日
- 合併会社 12月決算、被合併会社 3月決算
(被合併会社の繰越欠損金の発生状況ごとの期限)
発生年度 | 繰越欠損金 | 内容 | 期限 |
---|---|---|---|
平成26年3 月期 | 100 | 合併会社は12 月決算なので、平成26 年12月に発生した繰越欠損金とみなされます。 | 平成35 年12 月まで |
平成27 年3 月期 | 200 | 上記同様、平成27年12 月に発生した繰越欠損金とみなされます。 | 平成36 年12 月まで |
平成28年3 月期 | 50 | 合併等事業年度(平成28 年12 月期)開始の日以後に発生した繰越欠損金のため、当該合併等事業年度の前事業年度、つまり、平成27年12 月期に発生した繰越欠損金とみなされます。 | 平成36 年12 月まで |
平成 28 年 4 月期 (1 か月) |
30 |
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