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1.どんなもの?

簡単にいうと、自分が持っている株を渡す代わりに、対価として新たな会社の株式を取得することを言います。企業買収の一つとして利用されます。

(イメージ図)

例えば、それぞれオーナーが別々のクレア社・ビズ社があるとします。
クレア社がビズ社を100%支配したい場合、ビズ社のオーナー乙さんから、保有ビズ社株をすべて受け取り、対価としてクレア社(自社の株)を交付する株式交換を行います。
外見上子会社の株と親会社の株を交換しているようにみえるので、株式交換という呼び方がされます。

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2.株式交換の特徴

  • 親子関係を創設するにあたって、通常は現金等の資金が必要であるが、株式交換の場合は、自社の株式を代価にすることができるため、新たな買収資金調達が不要
  • 両社に資本関係が全く存在しなくても、100%子会社にして親子関係を創設することができる。
  • 会社の資産や事業の状況を変えることなく、支配関係だけを変更することができる


3.適格株式交換

適格株式交換に該当する場合、完全子会社株主は、完全親会社に対し、子会社株式を簿価により譲渡したものとして、譲渡損益の繰延が行われます。


4.適格株式交換の要件

持分割合 株式交付 持分
継続
従業員引継 事業継続 事業関連性 規模 or 役員 株式継続保有
企業グループ内分割 (100%) 100% × × × × ×
(50%超
100%未満)
50%超
100%未満
× ×
共同事業のための分割 (50%以下)


(1)企業グループ内再編とは?

  • 親会社と子会社が同一の者に50%超を所有されている企業グループ内の株式交換

同一の者=親族等同族関係者含む

  • 親会社が子会社の50%超を直接(又は間接)所有している企業グループ内の株式交換


(2)共同事業のための株式交換とは

資本関係のない複数の会社が、相互に関連性ある事業を集約することで、競争力の強化を図ることを目的として行われる株式交換です。


(3)各種要件の説明

要件 内容
株式交付要件 株式以外の資産が交付されない交換であること(金銭交付は×)
(完全支配親会社株式もOK、無対価の場合もあり)
持分継続要件 交換前後に、持分関係が継続することが見込まれること
従業員引継要件 「子会社」の従業員の概ね8割以上が継続従事見込
事業継続要件 「子会社」の主要事業の継続が見込まれること
事業関連性要件 「子会社」の主要事業と「親会社の事業」が相互に関連すること
規模比率or役員要件 ●子会社と親会社事業の事業規模(売上額、従業者数等)が概ね5倍を超えないor
●子会社の役員(常務取締役以上)が、1人以上継続すること
株式継続保有要件 株式の継続保有が見込まれること
(株式交換完全子法人の株主が50人以上の場合は、不要)

(平成29年4月20日追記)
平成29年度税制改正により、以下が追加されました。
対象会社の発行済株式の3分の2以上を有する場合、その他の株主等に対して交付する金銭その他の資産を除外して「対価要件」の判定を行う(スクイーズアウト関連税制整備)
つまり、例えば、株式交換で3分の1未満の少数株主に金銭を交付する場合は、従来は「非適格」でしたが、他の要件を満たせば、「適格」になります。


5.株式交換と現物出資の比較

「現物出資」も、適格要件を満たす場合には「適格現物出資」となります。
子会社株式を現物出資した場合、実質的には株式交換と同じ効果がありますが、「適格要件」は、現物出資の方が厳しい要件となっています。

適格現物出資の要件は、「現物出資法人が被現物出資法人の発行済株式の100%を保有しており、現物出資後もその関係の継続が見込まれる場合」
となっていますので、注意しましょう。


6.適格株式交換の仕訳(税務仕訳)

会社 借方 貸方 摘要

親会社
(新株発行仕訳)

子会社株式(簿価)(※) 資本金(簿価)
  • 親会社は、子会社株式を簿価or簿価純資産で引継(税金発生しない)

子会社

仕訳なし(株主が変わるだけ)

  • 税金発生しない
元子会社株主 親会社株式 子会社株式(簿価)
  • 本来、譲渡所得課税が発生するが、交換対価が親会社株式(or完全支配親法人)のみの場合、譲渡損益を繰延可(税金発生しない)

(※) 株主数によって異なります。

株主数50人以上・・・簿価純資産   株主数50人未満・・・帳簿価額


7.非適格株式交換の仕訳(税務仕訳)

会社 借方 貸方 摘要
親会社
(新株発行仕訳)

子会社株式(時価)(※)

資本金(時価)
  • 時価で子会社株式を取得(税金発生しない)

子会社

資産 資産評価益
  • 一定の資産につき時価評価(税金発生)
  • 100%グループ内での非適格株式交換は評価損益計上不要(税金発生しない)
元子会社株主 親会社株式(時価) 子会社株式(簿価)
譲渡益(差額)
  • 時価譲渡のため、譲渡損益発生(税金発生)
  • 交換対価が親会社株式(or完全支配親法人株式)のみの場合は、譲渡損益を繰延可(税金発生しない)

(※)時価評価資産は、固定資産、土地等、有価証券、金銭債権、繰延資産(売買目的有価証券等、時価評価資産から除かれるものもありますので注意です)。


8.税務処理まとめ

税制適格 税制非適格
親会社 課税なし 課税なし
子会社 課税なし 課税あり(※1)
元子会社株主 課税あり(※2) 課税あり(※2)
親会社株主 課税なし 課税なし(※3)

(※1)一定の場合、評価損益計上不要(100%グループ内の非適格株式交換)
(※2)交換対価が親会社株式(or完全支配親法人)のみの場合は、譲渡損益を繰延可(=税金発生しない)
(※3)株式交換比率が適正でない場合は、株主間贈与課税の論点あり


9.株式交換の手続の流れ(会社法)

株式交換契約の締結 株式交換当事者間で契約を締結。
事前開示手続 双方の会社で契約内容等を備置し、各株主等に事前開示。
株主総会の承認 各社で株主総会の特別決議必要。なお、一定の要件を満たす場合には、株主総会の省略が認められる(注)。
反対株主等からの株式等の買取 各会社は、各株主宛に株主交換の旨などを通知し、反対株主等から株式買取請求に応じる。
債権者保護手続 原則的に不要(株式交換対価として、完全親法人株式以外の金銭等を交付する場合には必要)
効力発生(効力発生日) 効力発生日は、株式分割契約で定められる。
事後開示手続 双方の会社で、契約内容等を備置し、各株主等に事後開示。

(注)株主総会決議を省略できる場合があります(簡易株式交換・略式株式交換)。

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