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最近は、日経新聞でも、日々IPO銘柄が紹介されていることが多いですね。
IPOとは「Initial Public Offering」の略、株式を上場させることです。
2009年のIPO銘柄数は19社だったのに対し、最近は毎年100社程度が上場しています(うち、マザーズが半数以上)。
 
昔と比べると・・景気が回復したということになるのでしょうか。
今回は「IPO市場の概要」と「メリット・デメリット」を中心にお伝えします。


 

1. IPOとは?

IPO(株式上場)とは、株式会社が、証券取引所に株式を上場させ、自社の発行する株式を自由に譲渡できるようにすることです。
株式市場に上場することで、証券取引所を介して、自社株式の売買が行われるようになります。

 

2. メリット・デメリット

IPOすることで、会社の知名度・信頼性が向上しますので、様々なメリットを受けることができます。
その反面「適時開示等」の事務負担増大のデメリットがあります。
以下、法人・従業員・株主側からのメリット・デメリットをまとめます。


 

(1) 一般的なメリット・デメリット

メリット デメリット
法人
  • 知名度・信頼性向上による新規取引の増加
  • 資金調達(増資・新規借入)が容易になる
  • 人材採用の質が向上
  • 経営体制や社内環境の改善
  • 企業情報開示の負担増
  • コスト負担増(上場維持費用、監査報酬他)
  • 株を自由に売買できるため、買収リスクの発生
  • 外部株主等のプレッシャーにより、意思決定の自由度が制約
従業員
  • ストックオプション等付与による報酬増加・労働意欲の向上
  • 上場会社肩書によるモチベーションの上昇
  • 内部管理体制整備による福利厚生環境の改善
  • 内部管理が厳しくなり、人によっては窮屈に感じる方もいる
株主
  • 創業者利潤の確保
  • 流動性増加により、現金化が容易となる
  • 株価上昇による資産価値の増加
  • 親族経営による事業承継は困難になる


 

(2) 個人的に考えるメリット

上記は、一般的に言われているメリット・デメリットですが・・
個人的には、IPOによる最大のメリットは、「IPO準備過程で従業員が自分の会社をより深く知ることができる」点だと思っています。
 
IPO準備をしていく中では、さまざまな「社内管理体制」を構築していきます。
こういった機会は、普段の業務ではなかなか経験することができません。
IPO準備を進める過程で、従業員は、普段あまり携わっていなかった業務や、会社の社内管理体制、あるべき内部統制などを自然に把握、理解していくことになります。
従業員が自分の会社を深く知ることになれば、経営への興味、リスクの把握、会社への愛社精神など、さまざまなメリットが生まれる可能性があります。
ここに一番大きなメリットなのかな?と、個人的には考えています。

 

3. IPO市場の種類

(1) 国内市場は4か所

一般投資家が株式を売買できる市場は、国内で4か所あります(東京、名古屋、札幌、福岡)。
かつての「大阪証券取引所」は、東京証券取引所と経営統合し、現在は「先物市場」のみが存在しています。


 

(2) 「本則市場」と「新興市場」

国内市場4か所はそれぞれ、本則市場・新興市場の2種類に分かれます。
 

東京 本則市場 東証1部・2部
新興市場 マザーズ
JASDAQ(スタンダード・グロース)
プロ向け TOKYO PRO Market
名古屋 本則市場 名証1部・2部
新興市場 セントレックス
札幌 本則市場 札証
新興市場 アンビシャス
福岡 本則市場 福証
新興市場 Q-Board


 

(3) 東京証券取引所

日本での代表的な取引所は「東京証券取引所」になります。
東京証券取引所の内容は、以下の通りとなります。

 

① 東証1部(本則市場)

国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場です。
「東証1部」は、海外投資家も含めた国際的な市場として、市場規模や流動性においても世界のトップクラスの市場です。

 

② 東証2部(本則市場)

東証1部とそん色のない大企業等が上場している市場です。
ただし、上場の「審査基準」という点では、若干ハードルは下がるため、東証1部上場のステップとして、まずは東証2部の上場を目指す会社も多いです。

 

③ 東証マザーズ(新興市場)

マザーズは、近い将来「東証1部」へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。
「高い成長可能性」を求められますが、規模や業種などによる制限は設けられていません。
マザーズ上場後、多くの企業が東証1部にステップアップしています。

 

④ JASDAQ(新興市場)

マザーズと近いですが、JASDAQの場合は、ある程度の事業規模と実績を有する成長企業が含まれている点が特徴です。
①信頼性、②革新性、③地域・国際性という3つのコンセプトが掲げられています。
「スタンダード」と「グロース」の2種類があります。
 

スタンダード スタンダードは、企業の「存続性」が重視されます。
一定の事業規模と実績がある企業を対象に、純資産・利益・時価総額等の一定水準が要求されます。
グロース グロースは、企業の「成長性」が重視されます。
特色ある技術やビジネスモデルを有し、成長可能性がある企業が対象となります。
純資産等の形式基準はなく、赤字企業でも、成長可能性があれば、上場が可能な点が特徴的です。

 
マザーズやJASDAQなどの「新興市場」は、本則市場よりも、上場基準のハードルが少し下がるため、まずは新興市場を目指す会社が多いです。
 

IPO企業の規模比較(2015年~2017年)

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次回は、IPOのスケジュールや上場費用についてお伝えします。
 

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