No35.現時点の株価を低く抑えるためには?(平成29年改正税法反映済)
(加筆訂正 平成29年6月24日平成29年改正税法反映済)
「株価」というのは、以下の式で表されます。
株価=株式単価×株式数量
言い換えると、株価を下げようと思えば、「株式単価」「株式数量」のどちらかを下げればよいということです。
まず、「株式単価」を下げるにはどうすればよいでしょうか?
これは、自社が採用する評価方法(類似業種比準価額方式・純資産価額方式)の特徴を理解すれば、答えはでてきます。
一般的には、こんな感じでしょうか!
目次
1.株単価を下げる
(1)類似業種比準価額方式
類似業種比準価額方式の要素の一つである、「利益」、つまり決算対策で直近の利益を下げれば株価は下がります。
(平成29年改正により、利益のインパクトは1/3薄まりましたが)
(株価を抑える例)
役員退職金の計上 報酬増額、決算賞与 |
オーナーの退職金は、通常多額な支給額になるため、支払った時期の利益が大幅減額され、株価も大幅に低下します。 ただし、役員退職金は、損金で認められない場合もありますので、「税務上の要件」には注意しましょう。 |
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含み損実現 | 含み損のある資産の売却、除却処理等で利益を圧縮します。 |
保険(将来返戻あるもの) | 比較的安全な対策です。 ただし、保険は、本来は役員、従業員の不慮に備える目的のものですので、「遺族のための生活保障を中心」に考えるのがベターです。 |
オペレーティングリース | 「航空機等のリース事業」を行う匿名組合に、出資する金融商品です。 出資先の損益が法人決算に反映されますので、一般的に節税の側面があります。 |
(2)純資産価額方式
「類似業種比準価額方式」と基本的に同様ですが、その他「株価を抑える例」をまとめておきます。
不動産等の購入 | 借入金を調達し、不動産等相続税評価額を安く抑えられる資産を購入する。その結果、借入金と資産評価額の差額部分の純資産が圧縮されます。 例えば、土地を購入すると時価の8割程度になりますし、賃貸不動産を建てると、更に安く抑えることが可能です (土地保有会社、開業3年以内の会社等は×)。 |
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赤字会社と合併する | ただし、税務上、繰越欠損金を保有する会社との合併は、いろいろな制限がありますので注意しましょう。 |
(3)ご参考~オペレーティングリース~
匿名組合事業は、航空機等をリースすることで、毎年リース収入を得、一方で、リース資産の減価償却を計上します。
設立当初は、定率法による減価償却費がリース収入よりも多いため赤字額が多くなります。
したがって、自社株式の評価額が上昇しそうなときに、オペレーティングリースで利益を圧縮し、その間に事業承継を行うことが可能となります。
(当初の損失は、将来利益として還元されます)
メリット |
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デメリット |
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2.株式数量を減らす、保有割合を下げる
次に、株式数量等を減らすことで株価を下げる方法を検討します。
増資により発行済株式数を増加させて、1株当たりの株価を引き下げるとともに、増加株式は、オーナーではなく、後継者・持株会などに保有してもらうことを考えます。
従業員持株会 | 中小企業投資育成会社 | |
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内容 |
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効果 |
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同左 |
特徴 |
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その他 |
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なお、従業員持株会は、規約で「退職時に「会社に○○円で譲渡する」と制約をかけることで、退職時の買い取り額が高額になることを抑えることも可能です。
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