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議決権の2/3に達するまでの自社株式は、贈与税の80%が「猶予」される制度があります。
ただし、「免除」ではなく「猶予」であるため、要件を満たさなくなったときには、納税しなければいけない点注意です。

また、同様の制度は相続税にもありますので、これらをセットで利用すると、かなりのメリットがある制度です。

 

1.主な要件

贈与者(先代経営者)の主な要件 受贈者(後継者)の主な要件
  • かつては会社の代表者であり、贈与時には会社の代表権を有していない
    (改正により、贈与時は、役員でも可能ということになりました)
  • 贈与直前に、贈与者とその親族で発行済議決権総数の過半数を保有し、かつ、後継者を除いたこれらの中で筆頭株主であること。
  • 20歳以上で会社の代表者であること
  • 贈与直前に、後継者とその親族で発行済議決権総数の過半数を保有し、かつ、これらの中で筆頭株主であること。
  • 贈与時までに役員就任から3年以上経過していること。

 
(その他の要件)
・税務署に担保提供が必要ですが、担保は自社株式でもかまいません。
 

2.メリット

「猶予」といいながら、免除されるケースがあるんですね。

申告期限後5年内 申告期限後5年以降
  • 先代経営者が死亡した場合
    (贈与税は免除され、相続税の課税対象となる)
    この時点で、相続税の納税猶予制度を利用すれば、納税は猶予されます。また、この際の相続税は、贈与時点の価額で計算されますので、贈与時よりも相続時に株価が上昇している場合には有利になります
  • 後継者が、先代経営者の前に死亡した場合

 

左記に加え、次の場合は、全部又は一部税額が免除されます。

  • 会社が破産・特別清算等一定の事由があった場合
  • 同族関係者以外の者に納税猶予を受けた会社の株式の全部を譲渡(対象株式の時価が、猶予税額を下回っている場合)

 

3.注意事項

申告期限後5年内 申告期限後5年以降

申告期限後5年以内に、一定の事象が起きた場合、猶予税額の全部又は一部と利子税の納付が必要となります。

(代表例)

  • 自社株式を一部でも譲渡した場合
  • 承継者が代表者でなくなる場合
  • 5年平均で雇用の8割を維持できない場合
  • 承継者と親族等で保有する議決権が、50%以下となった場合
  • 自社株式を譲渡した場合には、譲渡株式に対応する猶予税額と利子税の納付が義務付けられます。(譲渡した部分のみ)。
  • 会社が資産管理会社に該当することとなった場合には、猶予税額の全部と利子税を納付する必要があります。

 

4.~ご参考 最近の改正 ~平成27年4月1日以後

贈与者(1代目)が存命中に、事業承継受贈者(2代目)がその後継者(3代目)に再度受贈した場合には、2代目の贈与税の納税義務が免除されることになりました。
(改正前は、この時点で、2代目に猶予されていた贈与税の納税義務が発生していました。)
 
上記は、原則申告期限後5年経過以降の取り扱いですが、一定の場合は5年内でも可能です。
 
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