No138.海外子会社株式を売却した場合の税金は?
目次
最近は、グループ組織再編等の関係で、子会社を清算したり、子会社株式を外部に譲渡したりするケースも多いですね。
今回は、「海外子会社株式」譲渡時の「売却損益」に関する税金についてまとめます。
1. 国内子会社株式を売却した場合は?
「子会社株式売却益」に対して、「法人税」が課税されます。
2. 海外子会社株式の場合は?
「子会社株式売却益」に対して「法人税」が課税される点、上記同様です。
しかし、海外子会社株式の場合、子会社所在地国(海外)でも課税される場合があります。
この点が、国内子会社株式の売却の場合と大きく異なる点です。
(1) 原則
原則的に、株式の譲渡については、源泉地国(海外)で課税されません
(源泉地国の不動産保有割合が50%超の株式を除く。OECDモデル 租税条約第13条)。
(2) 例外
例外的に、「事業譲渡類似株式」(※)の譲渡につき、源泉地国(海外)での課税を認める「租税条約」が結ばれている国については、源泉地国での課税が行われます。
例えば、中国やシンガポール、ベトナムなどは、源泉地国での課税が容認されています。
この趣旨は、子会社株式の譲渡といっても、実態が「子会社事業の譲渡」と類似しているのであれば、事業譲渡と同視して「課税する」という趣旨です。
(※)事業譲渡類似株式って?
租税条約ごとに定められていますが、概ね、下記2つの要件を満たす株式です。
所有株数要件(特殊関係株主等含む) | 株式総数の25%以上の株式を所有 |
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譲渡株数要件(特殊関係株主等含む) | 株式総数の5%以上の株式を譲渡 |
(3) 源泉税は?
子会社株式売却益につき、海外で課税される場合は、現地で源泉徴収されますので、外国法人税額が差し引かれて、「売却代金」が入金されます。
(4) 外国税額控除
源泉徴収された外国法人税については、日本と海外での二重課税を排除する必要がありますので、「外国税額控除」の適用が認められます。
また、事業譲渡類似株式の譲渡損益(現地で外国法人税が課されるもの)は、外国税額控除限度額の計算上、「国外源泉所得」と取り扱われます。
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