No85.MBOとは?
1.MBOって何?
MBOっていうのは、M&Aの手法の一つで、マネジメントバイアウトの略です。
LBOと似ていますが、一般的に、MBOは「現経営陣」による企業の買収のことを指します。
なお、経営陣ではなく、従業員が買い取る場合は「EBO」と呼ばれます。
2.MBOが利用されるケース
- 経営陣が、親会社やオーナーから株式を買い取ることで、自ら企業のオーナーとして独立するケース
- 経営陣が、子会社をグループから切り離す際、経営陣が株式を取得して親子関係を分離するケース
- 上場会社が、非上場にするため、不特定多数の株主から「TOB」等により買取りを行う手段として利用するケース
3.通常の買収やLBOと異なる点
通常の買収やLBOは、ターゲット会社が「他社」ですので、敵対的な買収の場合が多く見られます.
一方、MBOは、買い手が「自社経営陣」で、MBO後も引き続き経営を行うことが前提となるM&Aのため、比較的成功するケースが多いです。
MBO | 通常の買収・LBO | |
---|---|---|
買い手 | 現経営陣 | 外部の第三者 |
買収後の経営 | 現経営陣 | 外部の第三者 |
4.資金はどうやって集めるの?
MBOでは、経営陣がオーナーから株式を買い取る資金が必要となります。
しかし、一般的に買収資金は多額になりますので、個人が、MBOの資金を全額保有している場合はほとんどありません。
ですので、現実的にMBOを実行する場合は、「投資ファンド」と「現経営陣」の共同買取で行うケースが多いです。
そして、将来的に、投資ファンドは、株式上場やM&A等のエグジットで、投下資金の回収を図ります。
ファンドとの共同買取の場合、MBO実行後の株主は、経営者と、経営者の経営方針を支持する「投資ファンド」となります。
5.MBOのメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
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6.上場会社のMBO
2010年ごろから、上場会社のMBOは増加しています。
カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、幻冬舎、ユニマットライフ、アート引越センターなどですね。
最近もアデランスのMBOの話がでてましたね~
なぜ、上場会社なのに、わざわざMBOを実施するのでしょうか?
上場企業は、多数の「ステークホルダー」に監視されています(コーポレートガバナンス)。
パブリックカンパニーとして、当然と言えば当然なのですが、一方で、「経営の自由度が阻害されてしまう」という側面も有しています。
例えば、経営の転換点にさしかかった企業は、「短期的な利益」を犠牲にしてでも、「長期的な経営改革」を実行しなければいけない時期があります。
その場合、一般的に、株主は、短期的な利益を追求しますので、上場会社のように多数の株主に監視されている状況では、会社の意思決定を容認してくれないかもしれません。
そこで、「経営改革を迅速に遂行するため」にMBOを実行するということです。
MBO後は、多数の株主の監視にさらされることなく、「自由な意思決定」を行うことができます。
最近は、コーレートガバナンスコードの導入により、買収防衛策が制限され、経営者が自由に株式を取得できる環境も整備されつつあります。
こういったことを背景に、今後はMBOも増えるかもしれませんね。
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