No164.労働保険って?
毎年、6月頃、「労働保険」の申告書が送られてきますよね?
また、会社設立時や、従業員の新規採用・、離職の場合には、労働基準監督署やハローワークに書類を届出しないといけません。
どこに何を提出するんでしょうか?
今回は、労働保険の概要や提出先、労働保険申告書についてまとめます。
1. 労働保険って何?
労働保険は、2つから成り立っています。
①労災保険②雇用保険です。
役員は、労働保険の対象から外れますので、対象は「従業員」となります。
①は、すべての従業員が対象、②は、条件を満たした従業員が対象となります。
2. 雇用保険と労災保険の比較
労災保険 | 雇用保険 | |
---|---|---|
保険内容 | 「業務上」や「通勤時」に労働者がケガや病気、死亡などした場合に、必要な保険給付を行う制度 | 労働者が「失業」した場合に、一定の給付を行う制度 |
届出先 | 労働基準監督署 | ハローワーク(公共職業安定所) |
加入条件 | 原則、全員強制加入 | 31日以上の雇用見込みがあり、週の労働時間が20時間以上となる労働者 |
保険料 | 全額「事業主負担」 | 会社と従業員が「折半」 |
届出 | 最初のみ | 労働者の雇用、離職の場合、その都度届出を行う。 |
役員 | 同左 | 原則、対象外 |
3. 提出先
労災保険(労働基準監督署) | 雇用保険(ハローワーク) | |||
---|---|---|---|---|
必要資料 | 提出期限 | 必要資料 | 提出期限 | |
加入時 (※1) |
労働関係成立届 概算保険料申告書(※2) 添付資料 |
|
適用事業所設置届 被保険者資格取得届 (添付資料 労働者名簿) |
|
採用時 | 特になし | 被保険者資格取得届 | 翌月10日 | |
離職時 | 特になし |
被保険者喪失届 被保険者離職証明書(※3) |
10日以内 |
(※1)設立時の届出は、「労働基準監督署」が先になります。
「労働関係成立届」を提出後、ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」の提出が可能となります。
(※2)「労働保険」は前払となります。
加入時に「次の3月」までの保険料を「概算納付」します。
(※3)離職証明書用紙は、3枚複写になっています。
①事業主控②ハローワーク控③離職票(離職者用)です。
③の離職票は、退職者が失業手当をもらうときに必要な書類ですので、退職者自身に渡すのを忘れないようにしましょう!
4. 労働保険申告書
(1) 申告書
- 毎年、年1回、「労働保険申告書」を提出しなければいけません。
- 提出期限は、毎年6月1日から7月10日までとなります。
- 労働保険申告書は「雇用保険」と「労災保険」がセットになっています。
(建設業等、一定事業の場合は2枚以上になっている場合もあります)
(2) 納付額
- 期限は、申告書の提出期限と同様です(分納の場合を除く)。
- 労働保険は「前払」となります(概算)。
したがって、毎年支払う金額は、以下の金額となります。
① 前年4月~当年3月の確定額 - 概算既納付額(1年前に支払った額)
② 当年4月~翌年3月までの概算額
上記の「①+②」が納付金額となります。
5. 労働保険料の会計処理/税務処理
労働保険の会計処理については、方法がいろいろあります。
別途、濱田会計事務所HPで詳しくまとめています。
ぜひご参照ください。
6. ご参考 ~出向労働者の取扱い~
雇用保険 | 労働保険 | |
---|---|---|
出向者の取扱い | 出向元・出向先の2つの雇用関係を有する労働者は、「主たる賃金を受けている方」のみ被保険者となる | 出向先の指揮監督を受けている場合は、出向先の対象労働者として算定(出向元賃金+出向先賃金で計算)。 |
出向に関しては、給料や社会保険料等、他にもいろいろな論点がありますので、別途、濱田会計事務所HPでまとめています。
ぜひご参照ください。
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