No25.コーポレートガバナンスについて
1.コーポレートガバナンスとは?
経営者が、企業を監視する仕組み全体を指します。日本語では「企業統治」といいます。
利害関係者(ステークホルダー)のための情報開示のあり方や、監査役や取締役会など会社の「機関」のあり方などを指すことが多いです。
2.なぜ必要?
ステークホルダーの立場では、企業規模が拡大し、事業形態が複雑化してきても、当然、それぞれのニーズに応じた経営者への説明(アカウンタビリティ)を期待しています。
また、経営者側にとっても、例えば、不祥事を起こすと社会的信頼が失墜し、最悪倒産の危険にさらされる可能性があります。
そういった意味で、コーポレートガバナンスは、ステークホルダーにとってはもちろん、企業にとっても大切な概念となります。
目には見えないですが、会社の健康管理みたいなもので非常に重要ですね。
3.最近の議論~社外取締役~
最近トピックな議論は、社外取締役ですね。
社外取締役は、従来の経営者以外で「利害関係のない取締役」ですが、公正な観点で経営を監督し、透明性を高めることが期待されています。
この「社外取締役」の制度も、コーポレートガバンスの観点からの制度です。
東京証券取引所は、上場規定に、最低1名の社外取締役を「独立役員」に指定する努力義務を盛り込みました。
また、会社法では、「上場会社で社外取締役の選任がない」場合、株主総会などで「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明義務が発生することとなりました。
4.コンプライアンス・CSRとの違いは?
コンプライアンスとは、「法令順守」のことをいいます。
一方、コーポレートガバナンスは、企業を監視する仕組み全体をさし、法令遵守に限らず、内部統制システムの遵守等も含みます。
また、CSRという概念は、企業の社会的責任と略されます。
CSRは,企業が社会に永続していくための「自発的活動」という意味ですが、最近はあまり区別されることなく利用されています。
5.コーポレートガバナンス・コードとは?
(2016年10月9日追記)
金融庁と東京証券取引所が、「上場企業が守るべき行動規範」として、取締役会や株主の役割などを定めたものです。
「コード」とは規則のことですが、細目ではなく、大きな原則を示したものとなります。
このコードをもとに、2015年6月に上場制度が一部見直され、例えば、以下のようなものが適用されています。
- 「コーポレートガバナンス報告書」に、持ち合い株式に関する方針や、取締役会に関する開示等の情報開示を義務付け。
実施しない場合はその理由を明記。 - 独立社外取締役を2名以上選任する
なお、コーポレートガバナンス・コードの基本原則は、①株主の権利・平等性の確保 ②株主以外のステークホルダーとの適切な協働
③適切な情報開示と透明性の確保 ④取締役会等の責務 ⑤株主との対話 の5つとなっています。
<< 前の記事「株式の持ち合いとは?」次の記事「セグメントごとに決算をする理由」>>