No224.【年金シミュレーション】将来年金はいくら受け取れる?サラリーマンVS自営業VS主婦を徹底比較!
毎月支払っている年金、将来どれくらい受け取れるのか?気になるところですよね。
今回は、将来受け取る年金の「計算方法」について、具体例を用いてまとめます。
1. 将来もらえる年金の種類は?
まず、毎月支払う年金は、「自営業者」と「会社員」で異なります。
自営業者は「国民年金」、会社員等は「厚生年金」を支払っています。
毎月支払っている年金の種類が異なるため、将来受け取る年金の種類もそれぞれ異なってきます。
自営業者・会社員等が受け取れる年金をまとめると、以下の通りとなります。
毎月支払う年金 | 将来受け取る年金 | |
---|---|---|
自営業の方 | 国民年金 | 老齢基礎年金 |
会社員等 | 厚生年金 | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
よく見ると・・会社員等は、「厚生年金」しか支払ってないのに、受け取る年金には、自営業者がもらえる「老齢基礎年金」も含まれています。なぜでしょうか?
実は、国民年金も自動加入となり、国民年金も含めて支払っていることになります。
つまり、会社員は、毎月「厚生年金」を支払うだけで、将来「老齢厚生年金」だけでなく「老齢基礎年金」も受け取れますので、金額が多くなります。
意外と、会社員の方は恩典があるんですよね。
2. いつまで払う?いつからもらえる?
- 国民年金は原則20歳~60歳まで、厚生年金は就職~退職まで支払います(最長70歳まで)。
- 年金を受け取れる時期は、今の現役世代は、原則として65歳からとなります。
3. 老齢基礎年金の受取額は?
自営業者が受け取れる「老齢基礎年金」の金額は、意外と簡単に計算できます。
40年間(20歳〜60歳)保険料を支払った方は、毎年、年間約78万程度受け取ることができます
(毎年「満期年金額」が決められています)。
(1) 計算方法
老齢基礎年金受取額は、単純に「保険料払込期間」で計算します。
40年間支払った場合の「年間受取額」が約78万円ですので、支払期間1年ごとに約19,500円(78万円 ÷ 40年)増加します。
例えば、30年間支払った方の受取額は、19,500円 × 30年 = 約58.5万円/年となります。
(2) 留意事項
- 加入期間が10年以上なければ受け取ることができません
- 会社員等の配偶者は、自動的に国民年金を支払っていることになります(第3号被保険者)
4. 老齢厚生年金の受取額は?
会社員等が受け取れる「老齢厚生年金」の金額は、少し複雑です。
払込期間だけでなく、払込期間における「平均給料」も考慮して金額を決定します。
なぜなら、国民年金の支払額は一律で定められているのに対し(令和2年度16,540円/月)、厚生年金の支払額は、各人の給料の金額に応じて変動するためです。
(1) 計算方法
法令改正の影響により、期間が2つに分かれるため、少しややこしくなっています。
厚生年金加入期間を、①2003年3月以前と②2003年4月以降に分けて計算し、合計した金額となります。
① | 2003年3月以前の加入期間 | 平均標準報酬月額 ×( 7.125 / 1,000 )× 2003年3月までの加入期間の月数 |
---|---|---|
② | 2003年4月以降の加入期間 | 平均標準報酬額 ×( 5.481 / 1,000 )× 2003年4月以降の加入期間の月数 |
よく見ると「平均標準報酬月額 」「平均標準報酬額 」と、少し概念が異なります。
「平均報酬月額」は、賞与を除いた月額平均報酬、「平均標準報酬額」は、賞与も含めた月額平均報酬です。
ただし、これらの情報は、すべて「年金定期便」に記載されていますので、ご自身で計算する必要はありません。
(2) 留意事項
- 老齢基礎年金の受給資格要件(加入期間10年以上)を満たす必要があります
- 厚生年金の被保険者期間は、1カ月以上必要となります
5. 具体例
一生涯「会社員」の方もいれば、途中で退職して「自営業」になる方もいます。
簡単な例を記載します(現時点の制度を前提とした将来の受取額です)。
(1) 大卒22歳で就職、60歳まで同じ会社で働く予定の方
- 1980年5月生まれ、2003年4月に就職
- 厚生年金加入期間 38年(すべて2003年4月以降の加入期間)
- 一生涯の平均標準報酬額(賞与含む)は40万円とする
① 老齢基礎年金
19,500円 × 38年 = 約74万円
② 老齢厚生年金
40万円 × 0.005481 × 12か月 × 38年 = 約100万円
③ 将来受け取る年金
① + ② = 約174万円( ⇒ 月あたり約14.5万円)
(2) 25歳で就職、40歳で退職して独立、その後自営業の場合
- 1972年12月生まれ、1998年4月に就職、2013年3月末に退職し、自営業へ
- 厚生年金加入期間 15年
(2003年3月までの加入期間 5年、2003年4月以降の加入期間 10年) - 会社員時代の平均標準報酬月額・平均標準報酬額
・2003年3月まで 30万円
・2003年4月以降 50万円 - 国民年金加入期間 35年(厚生年金加入期間も含む)
① 老齢基礎年金
19,500円 × 35年 = 約68万円
② 老齢厚生年金
- 30万円 × 0.007125 × 12か月 × 5年 = 約13万円
- 50万円 × 0.005481 × 12か月 × 10年 = 33万円
合計46万円
③ 将来受け取る年金
① + ② = 114万円( ⇒ 月あたり約9.5万円)
(3) 高卒18歳で就職し25歳で結婚、その後は専業主婦の場合
- 1995年8月生、2014年4月に就職、2021年3月末に退職し、専業主婦(夫の扶養)
- 厚生年金加入期間 7年
- 会社員時代の平均標準報酬額 25万円
- 国民年金加入期間 40年(第3号被保険者のため全期間支払っていることになる)
① 老齢基礎年金
19,500円 × 40年 = 約78万円
② 老齢厚生年金
25万円 × 0.005481 × 12か月 × 7年 = 11.5万円
③ 将来受け取る年金
① + ② = 89.5万円( ⇒ 月あたり約7.5万円)
専業主婦となり、夫の扶養に入った場合は、第3号被保険者となり、国民年金は、支払しなくても自動加入の取扱いとなります。
6. ねんきん定期便
毎年誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」には、年金額を算出するための「受給資格期間」(年金加入期間)や「平均標準報酬額」などが記載されています。
(1) 50歳以上の方
50歳以上の方は、60歳まで加入継続した場合の「将来もらえる年金見込額」がそのまま記載されています。
(2) 50歳未満の方
「これまでの加入実績に応じた年金額」が記載されています。
この金額は、あくまで「ねんきん定期便」を集計した時点での加入実績に基づく年金額であり、将来もらえる年金額が記載されているわけではありません。
ご自身で将来の年金額を知りたい場合は、記載された情報から上記の計算式に当てはめて計算すれば、概算額が出ます。