No176.従業員が退職した場合の会社側の手続は?年金事務所・ハローワーク・市役所への届け出や、従業員に渡す書類
従業員が退職する場合、会社側は、従業員とのやり取りだけではなく、年金事務所や市役所等への書類提出など、さまざまな作業を行う必要があります。
今回は、退職時の「会社側の手続」につき、相手ごとにまとめてお伝えします。
1. 従業員(退職者自身)とのやりとり
(1) 退職者から回収するもの
- 退職届(必須ではないが後々のトラブルを考えると、入手しておくのがベター)
- 健康保険被保険者証(本人及び扶養家族分)
- 社員証、セキュリティカード、作業着や通勤定期券など
- 名刺やPC、会社携帯、取引先との書類、データなど
なお、退職時は、例外的に有給休暇の買取が認められています。取得しきれない有給休暇の買い取りを求められた場合は、会社と退職者で協議で金額を決定します。
(2) 退職者に渡すもの
離職票(雇用保険被保険者離職票1・2) (希望する場合or59歳以上) |
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雇用保険被保険者証 (会社が預かっている場合のみ) |
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源泉徴収票 |
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健康保険被保険者資格喪失証明書(希望する場合) |
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年金手帳 (会社が預かっている場合のみ) |
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退職証明書 (希望する場合のみ) |
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2. ハローワーク関係(雇用保険)
提出書類 | 雇用保険被保険者資格喪失届 |
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提出先 | 所管のハローワーク |
添付書類 (離職票を希望する場合のみ) |
・雇用保険被保険者離職証明書 ・退職理由を確認できる書類(退職届など) ・労働者名簿(フォームは自由) ・賃金台帳(7か月分) ・出勤簿、タイムカードなど(12か月分、賃金支払基礎日数11日以上の月) |
期限 | 退職日の翌日から10日以内 |
本人に離職票を渡す場合、まず会社からハローワークに離職証明書(雇用保険被保険者離職証明書)を提出する必要があります。
「離職証明書」は3枚セットになっており、まずは会社が作成の上、ハローワークに提出します。
その後、ハローワークから押印済のものが戻ってきますので、うち1枚は退職者に渡す離職票(離職票2)として代用可能です。
3. 年金事務所関係(社会保険)
提出書類 | 被保険者資格喪失届 |
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提出先 | 所管の年金事務所 |
添付書類 | 健康保険被保険者証(本人及び扶養家族分。紛失した場合は「健康保険被保険者証回収不能・紛失届」) |
期限 | 退職日の翌日から5日以内 |
なお、健康保険は、2年間を限度に任意継続も可能です。ただし、任意継続の場合は、全額従業員負担となりますので、負担額は、おおむね倍程度になります。
4. 市役所関係(住民税)
住民税を特別徴収している場合は、以下の書類の提出が必要となります(普通徴収の場合は不要。
提出書類 | 給与所得者異動届 |
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提出先 | 退職者が居住する各市区町村 |
期限 | 退職日の翌月10日 |
前年分の住民税の徴収については、退職月によって手続きが異なりますので、ご注意ください。
退職月 | 住民税の徴収方法 |
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1月~5月 | 原則、残り分を最後の給与から一括徴収(特別徴収は6月~5月)。 |
6月~12月 | 原則、退職月まで特別徴収。翌月から普通徴収切替 一括徴収の希望がある場合は、一括徴収月の翌月10日に納付。 |
再就職先が既に決まっていて、1カ月以内に次の会社に入社する場合、特別徴収を継続することができます。
この場合、「特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」を、退職する社員に渡し、退職社員が再就職先に提出します。
その後、新しい職場が、追加情報を記載し、退職翌月10日までに提出します。
退職した場合の住民税の手続については、別途こちらでまとめています。ご参照ください。
5. その他
- 情報漏洩しない誓約
取引先との情報などを社外に漏らされないよう、データはすべて返還したことや、情報漏洩しない誓約をもらっておく方がよいと思います。 - PC・メールアカウント・社内システムのアクセス権停止
サーバーやクラウドのアクセス権・PCなどのアカウントの削除を行います。
6. Youtube
YouTubeで分かる「従業員が退職した場合の会社側の手続は?」