No24.短期事業計画と中長期経営計画
1.事業計画はなぜ重要?
1年ごとの「短期事業計画」は、しっかり策定されている会社はありますが、3~5年程度の「中長期経営計画」は、意外と策定されていない会社が多いですね。
人間は、長期的に、何か「目標」がないと、それに向かって努力できません。
経営環境は刻々と変化していきますので、中長期で安定的な成長を見込むためには、短期的な視点だけではなく、3~5年程度の会社の目指すべき目標を設定するのも大事です!
そして、それを実現するために、「各施策を社員一丸で共有」しておくことも必要になります。
そして、この3~5年程度の「中長期事業計画」を実現するために、その内訳として、「1年の短期計画」を策定します。
つまり、毎年、「中長期事業計画」のうち、「どこまでを短期的に」実現するかを、具体的に1年ごとブレークダウンしていくんですね。
中長期経営計画 = 一年ごとに細分化して「短期事業計画」を策定
2.中長期事業計画の策定手順
大きくは以下の3つのステージがあります。
(1)全体構想・・会社の経営理念・ビジョンを確認。
(2)経営戦略の策定・・現状分析。既存製品やサービス内容は?方向性、新規マーケット参入の方針は?
(3)数値化(損益・資金計画)・・売上、経費、利益、必要資金はどれぐらい?
(1)全体構想
「全体構想」とは、経営ビジョンの確認です。企業活動を行っていくうえでの、よりどころ、指針となるものです。
経営戦略の前提ですので、しっかり自社の経営理念やビジョンを確認しましょう。
(2)経営戦略の策定
経営理念・ビジョンを実現するための具体的な基本方針を定めます。
販売・生産・人事・財務・情報等さまざまな観点から基本方針を定めます。
その際、以下の内容も合わせて検討します。
① | 現状分析 | 取扱商品・サービスの内容を把握し、大きな分類だけでなく、詳細な商品ごとに、現状の商品・サービス内容を分析します。 |
---|---|---|
② | 商品・サービスの特色 (強み、課題、脅威、機会) |
ビジネスの核は、「企画」です。ここがしっかりしていないと、その後のプロセスをいくらがんばってうまくいきません。 |
③ | 市場規模・マーケットシェア等 | 経営資源には限りがありますので、特定市場に戦力を集中する必要があります。 ターゲットのお客様の特定、同業他社の動向・ビジネスの 成長性・市場規模を確認します。 |
(3)数値化(損益・資金計画)
中長期的に事業を継続させるためには、いくらの利益が必要で、そのためにはどれくらい商品を売る必要があるのか?を具体的に数値化します。
① | 販売計画 | 「誰に」「いくらで」「どれだけ」「どうやって」「どこで」売るかを数値に落とし込みます。 |
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② | 仕入計画 | 売上計画で、商品構成・販売数量が決まれば、それに合わせて仕入計画を立案します。 |
③ | 経費・人員計画 | 人件費や、広告宣伝費、家賃等、費目ごとに区分して策定します。 | ④ | 資金計画 | 損益計画ができあがったら、次は資金がいくら必要で、どう調達するかつまり資金計画も大切となります。 | ⑤ | 計画修正 | 計画と実績は必ず差異が出てきますので、適時に計画を修正して実態に合わせていく必要があります。 |
3.短期事業計画の策定
上記で策定した中長期経営計画をベースとして、年度ごとにブレークダウンして短期事業計画は策定されます。
短期事業計画は、「年度予算」と同義です。
内容的には、中長期事業計画と相違する点はありません。ただし、中長期計画よりも、より具体的・詳細に策定することになります。
(1)商品・サービス内容
中長期経営計画では、大きな商品・サービス区分で策定していたものを、短期事業計画では、より詳細な商品ごとに計画を策定します。
(2)月次にブレークダウン
中長期経営計画では、年単位で策定していたものを、短期事業計画では、月ごとの数値に展開して、月次で計画実績を比較していきます。
(3)資金繰り表
中長期経営計画でも大まかな資金計画は策定しますが、短期事業計画は、より具体的な資金計画を作成します。
月次にブレークダウンした損益計画を基に、入金・支払条件等を反映して、1年間の資金繰り予測を行います。
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